白昼夢、或いは全部勘違い

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大森靖子を襲名するということ

しゅうめい
【襲名】
《名・ス他》親の名や師匠の芸名をつぐこと。 

大森靖子を襲名することになった。
訳がわからない人はこちらを参照のこと。

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多数のtwitterアカウントが一斉に「大森靖子」になり、誰が誰だかわからなくなったインターネットの世界は奇妙だった。
近未来型ユートピアなのかディストピアなのか、「それでも醸し出せる『個』がお前にはあるのか⁉︎」と問われている気持ちになった。
「私は私よ 心があるもの!」と言うことはつまり、心がなければ私は私だと言い切れないのだ。
お前に心はあるか。私には余り無い。

私は「超会社員 大森靖子」を襲名予定だ。
名刺は既に届いている人もいるらしい。
私はワクワクと待っている。
返信用封筒さえ入れたらノーマネーでアーティスト手書きの品物が貰えるだなんて考えられないことだ。
その辺、もっとよく考えよう、気長に待とう、ワクワクしよう。
電車がよく遅れる国の人が「定刻通りに全部の電車が来たら、『電車、来るかな⁉︎』っていう楽しみがないじゃないか!」と言っていた。

これを読んでいるあなたは襲名しただろうか。
しなかっただろうか。
する気がなかっただろうか。気が引けただろうか。悩んで悩んで締め切りが過ぎただろうか。
なんでもいいけど。あんまり興味ないし。

さて、「超会社員 大森靖子」とはなんだろうか。

私の好きな美容師のあの人は「超美容師 大森靖子」を襲名していた。
(ごくたまにしかその機会を作れていないのが不甲斐ないが)彼女にシャンプーしてもらう時、カットしてもらうとき、彼女が今までの美容師人生をかけて会得してきたすべての技術が私に向けられていることを感じる。
それは大森さんが音楽を通して私にくれる、あなたとあなたとあなた、大森さん対私の一対一の関係と似たものである。
髪を乾かしているとき、たまに髪を巻くとき、彼女のことを思い出す。
それは大森さんのライブが終わった後の暮らしの中でもその時を思い出す感覚とも、似たものである。
彼女は私の好きな美容師のあの人であると同時に、まさに「超美容師 大森靖子」だなあと、彼女が襲名した名刺の写真を見た時に思った。

大森靖子を襲名する」とは、「超歌手 大森靖子」を汎化・概念化して、その上で各自「超○○」を具体化することだと私は思う。
例えば、自分が自分のまま、私は私のまま、世界と対峙すること。
例えば、相手を匿名の集団にせず、記名の個として向き合うこと。
大森靖子という概念」に何を思うかは人それぞれだろうが、それを自分の生業だったり生き様だったりに反映させることが、「大森靖子を襲名する」ということではないだろうか。

ああ荷が重い、私に果たせるだろうかと思わないこともない。
ただ、私は大森さんが私にくれる世界を愛している。
大森さんに出会う前よりもずっと息のしやすい世界だ。
その世界を少しだけ、私の出来る範囲で拡大すること、それが大森靖子を襲名してただの会社員から超会社員になる予定の、私のやりたいことだ。

先述の通り、私は会社員である。
もう、ごく普通の会社員だ。サラリーをくれ。サラリー大好き。

大森さんは超歌手だ。
大森さんの子どもの頃の将来の夢は「普通の人」だったとラジオか何かで聞いたことがある。
仮に、普通の人を「大多数の人」とするならば、超歌手は少数派で、会社員は普通の人だ。
「普通の人」を、大森靖子を襲名した上で実現することで、私は勝手に幼い頃の大森さんの将来の夢を叶えようと思う。