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ゴールデンカムイを読んで国立民族学博物館に行ってきたよ

副題:「博物館で見た展示品」が(架空の)エピソード記憶に変わった日のこと、漫画「ゴールデンカムイ」と国立民族学博物館の話。

国立民族学博物館をご存知だろうか。
国立民族学博物館

国立民族学博物館とは、太陽の塔でお馴染みの大阪は万博記念公園にある博物館で、民族学文化人類学を中心とした展示を見ることが出来る。

世界中の様々な民族の文化、衣食住だったり冠婚葬祭だったりにまつわる品々が所狭しと並べられている。
美しい民族衣装、文化間の影響を感じられる楽器、見つめられると背筋の寒くなる仮面や人形たち、一日中いたって飽きることがない。
かつて47日かけて3000キロの海上を渡ったチェチェメニ号なんて、見ていると涙が出てくる。
チェチェメニ号 | 国立民族学博物館

ただ、この博物館、私の体感ではめちゃくちゃ広い。
受け取る情報量がとんでもない。
全ての展示を見る頃にはクタクタに疲れてしまう。でもそのあと映像資料も見ちゃう。
(お気に入りは、ジョージアの結婚式の記録映像)

今回は、そんな順路の終わり頃に展示されている「アイヌ文化」を目指して足を運んだ。
漫画「ゴールデンカムイ」が好きになったからだ。
[第1話] ゴールデンカムイ - 野田サトル | となりのヤングジャンプ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!

ゴールデンカムイ」はべらぼうに面白いので読んでほしい。私が言うまでもないが。

目的の通り、「ゴールデンカムイ」に出てきた道具などの実物を目にすることが出来た。
といっても、これらの展示品を見るのは初めてではない。何度も見ている。
しかし、今まで私にとっては、大変失礼なことに「あらゆる展示に疲れ果てた終わりごろに現れる茅葺の家と、いろんな木彫りと刺繍と狩猟道具」であった。
例えば弓矢が展示されていたが、「わー弓矢だー、結構小さいなー」と思っていただけだった。
それはそれで、別に間違ったことではない。

しかし「ゴールデンカムイ」を熟読した後の私にとって、弓矢はアシリパさんの主要な武器であり、頭の中には弓を引くアシリパさんが浮かんでいた。
(早々に断りを入れておくと、「アシリパさんだ!ウェーイ!」と騒いだりしてないので「オタクはこれだから…」と思わないでくれ、博物館では静かにしてたから、盛り上がってたのは頭の中だけだから)

茅葺の住宅を再現した展示、今まではぼんやり眺めるだけであったが、家を隈なく眺めてみれば漫画の中に出てきた道具がいくつも置いてあり、それらは私の中でその道具を使っていたキャラクターと結びついた。
(あっこれおばあちゃんが持ってた!とか)
今までは「展示品」として見ていたものが、活き活きとした「生活の道具」に見えてきたのだ。

また、今まで展示を見て知っていたはずのことも、単なる「知っていること」でなく血の通った記憶になったように感じた。
例えば、アットゥシ。
展示でも漫画の中でも「木の繊維で作られた織物」と説明があったが、漫画の中でアシリパさんが丁寧に木の繊維を頂くエピソードを思い出し、目の前のアットゥシにも誰かの生活があったのだろうな、と想像することができた。

文化は、誰かの暮らしの一部だ。
私は博物館を通してそれを見聞きさせてもらっているのだ。
その展示物を、以前見たときよりも血の通ったものなのかと想像しながら見るのは、とても楽しかった。

私が今まで生きてきた中では、アイヌ文化に触れる機会は博物館以外になかった。
せいぜいシャーマンキングを読んだときくらいだ。
フィクションではあるのだけれど、「ゴールデンカムイ」という漫画によって、私の知るアイヌ文化が、(私の頭の中の出来事に過ぎないと言えば勿論だけれども)少しでも活き活きとしたものになったことが嬉しかった。
逆も然り、「あっこれ博物館で見たぞ…」と思いながら漫画を読み返すのは、とても楽しい。

知らない文化に触れること、私にとってはとても楽しいことだ。
万博公園にお出かけの際は国立民族学博物館にぜひ足を運んでほしいし、私はそのうち北海道に行ってもっとたくさんのことを学びたいと思っている。

最後に、ゴールデンカムイにもアイヌ文化にも万博公園にも何の関係もないが、私の好きな博物館(?)をもう一つ。
平戸市生月町博物館 島の館公式サイト
びっくりするほど隠れキリシタンの資料が展示されているので、長崎に行く機会があれば立ち寄ってほしい。