白昼夢、或いは全部勘違い

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ナナちゃんにはナナちゃんのブルースがあるじゃないですか

「ナナちゃんにはナナちゃんのブルースがあるじゃないですか」、と、慣れない焼酎を飲んでデロデロになった私の口から溢れた。
責任持ってまともな文章にしようと思う。
焼酎はごま、紅乙女が好きです。

超歌手 大森靖子ちゃんのライブで、ピックや飲み物が置いてあるテーブルに鎮座しているクマのぬいぐるみ、もっと激しい夜に抱かれたい、それがナナちゃんだ。
twitterのフォロワーは優に5000人を超えており、大森さんのグッズでもお馴染みの存在だ。
サンリオやディスクユニオンとのコラボグッズも存在する。(マジで)(公式)(ビビった)

ここでナナちゃんのtwitterプロフィールを参照する。

再生運動家✴︎魔法使い✴︎今ヤれるアイドル✴︎終幕ヒロイン✴︎バンギャのナナちゃんです✴︎処女です✴︎クマです✴︎趣味はバンドメンバー全員とヤって内部紛争をおこしバンドを解体させること✴︎特技は魔法のステッキを使って処女膜を再生すること✴︎だいたい靖子ちゃんのライブにでてます✴︎メディアが好きです✴︎

ここで私が着目したいのは、「メディアが好きです」という一言だ。

大森さんとナナちゃんが出会ったのは2014年7月の某空港でのことだ。
その様子はメジャーデビューアルバム「洗脳」の[type★洗脳CD+DVD(モリステ特大号)]に付属のDVDに収録されている「スタッフクソキノコによる大森靖子メジャーデビュードキュメンタリー『一生無双モードって言ったじゃん!せいこはつらいよ'14』ver.」にて見ることが出来る。

大森さんのメジャーデビューが発表されたのが2014年3月、リリースは同年9月。
その時期を前後して、大森さんは怒涛のフェス出演とメディア露出を繰り広げていた。
LINEスタンプにもなった、炊飯器片手に炊きたてのご飯を配り歩いたというフジロックにて、ナナちゃんはデビューライブを迎える。
同時期から、テレビで大森さんを見る機会がぐんと増えた。

私はその頃の大森さんを知らないが、「顔を見られたくないから」という理由で、髪を伸ばし顔を覆うようにして俯き続け、ステージに立っていた時期があるという。
そんな人が、私や、これを読んでいるあなたに音楽を届けるため、真っ直ぐ一人一人の目を見て、ライブハウスだけでなくフェスのステージやメディアの中に出て来てくれたのだ。
人の目を見ること、私には怖い。
私はテレビに出たことがないのでどんな気持ちか全くわからないが、想像するととても怖い。
知らない人からSNSで「ブスじゃん」と言われたらどうしよう。泣くわ。単純に辛いとしか私には思えない。
テレビに出ている人はみんなそれを乗り越えているのだろうか。感謝と尊敬の念しか無い。

その大森さんに寄り添うのが、ナナちゃんなのだ。
不特定多数の視線に晒されること、生じるノイズ、無責任な攻撃とダメージ。
たくさんの人に音楽を届けること、大森さんの音楽じゃなくちゃダメな、まだ出会っていない人のところに手を伸ばすこと。

そのとき、ナナちゃんは「メディアが大好きでーす」「テレビや雑誌に出たいでーす」と言うのだ。


大森さんのライブに行くと、ナナちゃんによく似たぬいぐるみを抱きしめたお客さんをたくさん見ることができる。
私も、ライブに持ち出すことはないが、ナナちゃんと故郷を同じくするクマのぬいぐるみを所有している。
「ただいま」と声をかけると、「今日もよく頑張ったね」「●●ちゃんはなにも悪くないじゃん」と答えてくれる。幻聴かな。
たまに喧嘩をすることもあるが、決して私を否定することのないこのクマは、私の心から生まれたものだ。
私は私を否定したくないということなんだろうな、と理解している。
マックのポテトでしか埋まらない何かがあるのと同じく、ぬいぐるみに頼らないと乗り越えられない何かが世の中にはあるのだ。世知辛い
私の場合、余談。


ナナちゃんにはナナちゃんのブルースがある、とにかく、私はそう思っている。