白昼夢、或いは全部勘違い

白昼夢、或いは全部勘違い

コンテンツの消費

マイクを持つ意味を探している君が好きだよ

めでたくコンテンツリリースから1周年を迎えた「ヒプノシスマイク」の話をする。
ヒプノシスマイク Division All Stars「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」Music Video - YouTube

私のブログを読んでくれている人は多分割と音楽を聴く人だと思うので、そんなあなたにダイレクトマーケティングだ。
(当初から追っているヘッズの皆さんにとっては周知の事実しか綴らないと思う。)

ヒプノシスマイク」は「男性声優12人によるラップソングプロジェクト。」らしい。公式曰く。
既存のコンテンツとの大きな違いは「ラップ」がコンテンツの中心にあることだ。

私はあまり詳しくない世界なので引き合いに出すのは恐縮だが、所謂「キャラクターソング」(カウントダウンTV見てると突然アニメのキャラクターが出てくるアレ)と、「ヒプノシスマイク」は違うな、というのが第一印象。
「キャラクターソング」は、アニメや漫画などでストーリーが先にあり、そこにキャラクターがいて、そのキャラクターが本筋とは違う世界線で歌を歌っているものと認識している。
それに対して「ヒプノシスマイク」は、漫画やアニメが先立っているわけではない。
リリース形態は「CD」、収録は「キャラクターによるラップ」、その後「キャラクターが登場するドラマトラック」(さっぱりわからない人に説明すると、声と効果音だけの朗読劇みたいなもん)が続く。
なので、とにかくコンテンツの中心が「ラップ」で構成されているプロジェクト、それが「ヒプノシスマイク」だ。

「音楽」でキャラクターを構成するにあたり、ロックバンドでもアイドルでもなく、「ラップ」なのがいいところ付いてきたなあーと思った。
私は然程ヒップホップ文化に明るくないが。
特にフリースタイルに顕著なように、個々人のバックグラウンドをコンテンツに昇華することがほかの音楽よりも特徴的なジャンルという印象がある。
12人のキャラクターが変わるがわる登場するアンセムでも、ソロパートは短いながら個性だけでなく関係性までもが惜しみなく表現されていて舌を巻く。
ヒプノシスマイク Division All Stars「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」 - YouTube

イケブクロの山田一郎がストレートにヒップホップ然としているので、「音楽的に興味湧いたけど、12人もいてよくわからん」という人はイケブクロから聴くといいと思う。
二郎は私が高校生の時に聴いていたJ-POPのラップを彷彿とさせるので聴きやすくて良き。
ヒプノシスマイク「Buster Bros!!! Generation / イケブクロ・ディビジョン Buster Bros!!!」Trailer - YouTube

なので、「なにそれアニメ?」と思わず、ちょっと聴いてみてくれませんかね、というお知らせだ。


という真面目な前置きはいいから推しの話をする。
ヒプノシスマイク「麻天狼-音韻臨床-」 / シンジュク・ディビジョン麻天狼 Trailer - YouTube

私の推しは観音坂独歩(かんのんざか どっぽ)である。
CHARACTER|男性声優キャララップバトル『ヒプノシスマイク』オフィシャルサイト
(私は「独歩ちん」と呼んでいる)

先述の通り、メインキャラクターは12人いる。
何でも屋さん、高校生、中学生、ヤクザ、不良警官、元軍人、ファッションデザイナー、文筆家、博打打ち、医者、ホストがひしめく中で「医療系機材会社の営業」を生業にしているのが独歩ちんだ。
MCバトルには有給で参加するし、相手には「所詮リーマン」と煽られる。
「タマとるぞ」「砂にするぞ」などという物騒なリリックが続く中、一人だけ「通勤快速ってもしかして停まらないのかよ⁉︎」と叫ぶ。
(新宿に停まらない電車はないと思うので、外回りか、最寄りが新宿三丁目とかなんだろうなとか思う)

独歩ちんのどこが好きか。
ラップをすること、マイクを持つことに葛藤し、マイクを持つ意味を探しているところだ。

ソロ曲「チグリジア」のリリック。

お気きに入りの静寂が死に続つづけている
歌はきっとそれを弔う為ためのディテール
マイクを持つ意味は知しらない
無なくたって意に介さない

俺は詩が書けない限り屍だ
呼吸すら身体の上から下までが
表現に飢えたからしたまでさ
これはマイクを持つ意味になるかな
だとしても知った気になりたくは無いから
一度だけ「ありがとう」でもさよなら
どうせ今日も歌うしかないんだ

「マイクを持つ意味はなくとも意に介さない」と言いながら、詩が書けない自分を「屍」と言い、全身で表現に飢えている。
そして「マイクを持つ意味になるかな」と希望を覗かせる。
それでいて「知った気になりたくない」という遠ざかった態度をみせる。
独歩ちんの、マイクを持つことを、ひいては音楽に対する姿勢について思いをはせる。

疑わしいがいつの間にか
音楽が力を持ったらしいんだ

ヒプノシスマイク」の根幹には兵器が廃絶され、MCバトルが武力に取って代わった世界という設定がある。
その世界の中で、音楽が力を持ったことにすら疑いを示す。

音楽の力を疑う人は、音楽に打ちのめされたことのある人だと私は思っている。
これは私の実感なので根拠はない。

独歩ちん、マイクを持つことに意味なんて探さなくてもいいんだよ、と思う。
音楽の力のことだって、誰より信じてるんでしょう、なんて知ったことを考える。

それを独歩ちんに伝えるのは私ではなくてひふみん(ひふみんは独歩ちんの幼馴染であり、棋士ではない)の役目なので、独歩ちんの音楽に対する姿勢と孤独に触れるストーリーがあればいいなあーと思っている。

ともかく、ちょっとヒプノシスマイク、聴いてみてよ。

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